頭蓋骨の歪み   


頭蓋骨の構成と歪み
 頭蓋骨は前頭骨・頭頂骨・後頭骨・側頭骨・蝶形骨などの骨から成り、それらの繋ぎ目は縫合(Suture)と呼ばれ、本来互いに柔軟に接し合っています。

 左の図は、典型的な頭蓋骨の歪み方を正面と上下左右から見た姿を表しています。この例では、顔面の右側が固縮しています。このゆがみ方は典型的なタイプで、約7割の人が同様の歪みの傾向を持っています。

 同時に頭頂部と脳底部の間で反対方向にネジレ合う歪みが発生します。この歪みが全身の骨格をも歪ませるのです。
 脳底を見ると、薄緑色の後頭骨と一番上の首の骨(第1頚椎;アトラス 濃い緑色)とが構成する関節が八の字(黒色)の形であることが分かります。この八の字の中心軸は顔が向く正面軸と一致しないといけないのですが、頭頂部と脳底部のネジレ合いがあると中心軸はやや右か左を向いてしまうことになります。つまり顔が正面を向くには、首をやや左右のいずれかに向かせないといけない状況になる訳です。
 この時、黄色の左右の側頭骨は片側が前方へ、反対側が後方へ変位する為に、側頭骨に構成される顎関節も左右間で前後する結果、顎の開閉運動を不自然にさせます。


 右の図の2つの骨格モデルは、左の頭が歪んでいないモデルでは背筋はまっすぐでいられるのに、右側のモデルのように、頭頂部の面が右に、脳底部の面が左に向いてしまう歪みがあると、首の7個の背骨、胸の12個の背骨、腰の5個の背骨、大きな骨盤、そして両足に及ぶ各部を互いに少しずつネジらせながら、全身の骨格でバランスをとろうとする現象を示しています。
 6kgの頭を支える為に、やむを得ず取り続ける補正作用なのです。


頭蓋骨の呼吸運動
 そして頭蓋骨は1秒間に数回、主に後頭骨を屈曲させて膨らんだり縮んだりさせて、脳脊髄液を脳の中心から背骨の中の脊髄へと流して、脳と脊髄に栄養を送り込む為の呼吸運動を繰り返します。

 ところが現代人は様々な環境害の被害で後頭部を固縮させてしまっているのです。頭に触れてみるとデコボコしていませんか。或いは後頭部が絶壁であったり一部が出っ張ってイビツになっていませんか。
 しかも食文化の乱れや有害化学物質の増加で、年々害毒被害の総量が増え続けています。その影響で後頭部の固縮や歪みの程度も年々強まる傾向にあります。
 歪んだ頭は、骨間の隙間(縫合)の可動性が悪くなるので、頭蓋骨の呼吸運動を感じ取ろうとしても、ほとんど分からないほど固くなっています。



頭蓋骨が歪む原因
原 因 1
 出産時の母胎の健康度や、出産経過、出産後の寝かされ方が影響して頭蓋骨の形がいびつになります。
 また乳幼児期の環境条件が悪いと、頭蓋骨に収縮作用が働き続けるので、ゆがみの程度がますます強くなってしまいます。
 現在35歳以下の方々は、生まれた時期に母体がそろそろ環境害を被っていたようなので、頭蓋骨の歪みが強い傾向があります。

原 因 2
 左右の顎の支点は左右の側頭骨にあります。頭蓋骨がゆがんで非対称だと左右の側頭骨の位置関係が非対称になるために、噛む時に顎の動きや上の歯との噛み合わせが不自然になります。
 原因1のゆがみの影響で噛み合わせも悪化するので、虫歯になりやすくなります。
 そこで歯科治療でアマルガムや金冠をかぶせられてしますと、一気に噛み合わせの不自然さが強まって、一層頭蓋骨のゆがみを強化させてしまう悪循環に陥ってしまいます。

原 因 3
 衣食住の環境害が影響します。環境害が体を刺激すると、防御反射として生体はまるで海老のように背中を丸める力を働かせます。この背中を丸める力が頭蓋骨の後頭部を収縮させることになります。



頭蓋骨の歪みの影響
 歪んだ頭を支える為に、脳は自律神経に命じて首の骨から腰の骨に掛けて、背骨全体を敢えて歪ませてバランスを取らせ続けます。
 このバランシング作業は脳にとっては無駄な作業で、24時間休むことなく一生続けなければならないストレスなのです。このストレスが大きいと倦怠感無気力を誘発することになります。
 またこの状況下で運動すると、歪んだ体を目的通り動かすのに複雑な命令を筋肉に送る必要が続くので疲れ易い症状と呈すると共に、手や足の関節に不自然な運動を強いられるので運動能力が発揮できず関節障害を誘発させます。

 頭蓋骨のゆがみは内容積を狭めるので脳を圧迫します。脳内循環の悪化を訴えてイライラ不安などの諸症状が精神面に現れることがあります。パニック障害も後述の食害や衣類の害毒被害などとの複合ストレスで起こるとも考えられます。
 左の図は、不登校児によくある頭蓋骨内の虚血の様子です。脳の輪郭を見ると後方の後頭部の膨らみが無く、特に左側が斜めに削がれたようになっています。このゆがみは頭蓋骨の固縮によるもので、影響が柔軟な後頭部に現れます。

 後頭部の固縮の結果、脳が圧迫を受け続けます。脳の圧迫の不快感は精神的抑圧感や閉塞感を誘発するものと思われます。この不快感は精神的異常や性格異常として診断されがちですが、教育的助言や医学的処方では解消できない症状で、本人の苦痛は誰にも分かってもらえず、自殺したくなる程苦しく、暴挙を起こして一時苦痛から逃避したくなる程何とかしたい地獄界なのです

 急増する「学級崩壊」での動き回る現象や「多動症」も、子供達が脳の圧迫によるヒステリー現象とも考えられます。


最近、殺人暴力などを起こした17歳の少年達が話題になっています。彼らこそ強い頭蓋骨の歪みによる抜け出す事ができない抑圧感・閉塞感に陥っているものと想像できます。17歳前後の少年に限らず、35歳以下の世代に共通した現象で、「すぐキレる」ことが多く、特に強い固縮が暴挙を誘発してしまうと言えます。
 また閉塞的な圧迫感は虐待いじめ自殺などの原因にもなっていると思われます。

 最近、青少年のひきこもりも問題となっています。これも閉塞感・抑圧感から家に閉じこもり、家族に向けての暴力で発散していると考えられます。働き盛りの青年でも、体が不調で仕事を続けられず退職して家に閉じこもってしまう現象も急増しています。こうした心身の異常も頭蓋骨の固縮が原因になっていると思われます。

 頭蓋骨の固縮は脳への血流や脳脊髄液の循環を鈍化させます。その結果脳への酸素や糖などの栄養補給を補強する為に血圧を上げたり血糖値を上げたりすると考えられます。最近では若い方でも固縮が起こり脳底で動脈瘤ができてしまい、クモ膜下出血の多発が報告されています。

 また頭蓋骨を構成する多くの板状の骨の繋ぎ目からは、三叉神経・顔面神経・迷走神経などの重要な脳神経や頸動脈が出入りしています。運悪く歪みの影響で脳神経や頸動脈を貫通させる繋ぎ目(縫合)が固着したりすると、顔や目・耳・鼻などの異常や内臓などの機能低下症状を誘発することもあり得ます。



二次的な背骨の歪みの影響

 頭蓋骨の歪みをバランスする為に二次的に背骨を歪ませる作る際に、特定の背骨の間にネジレを集中させてしまう体質の方の場合、その間から出入りする脊髄神経を圧迫してしまうことがあります。腕神経や足に行く坐骨神経などに行く神経が圧迫されると腕や足に異常を生じます。また内臓を支配する自律神経の交感神経が圧迫され続けると、その内臓の働きが低下したり組織の変性が起こったりします。様々な内臓疾患の発生はそのような状況から起こると考えられます。
 頭の歪みとは別に、有害性のある飲食物を摂り続けていると、消化器を栄養する自律神経が出る下部胸椎が大きく歪み続ける結果、消化器系の臓器に病変が生じやすくなります。

 強い背骨の歪みが続くと、背中は丸く猫背になり、膝が「く」の字に曲がって伸ばせなくなります。左右の非対称に働き続ける筋肉には、肩こりや腰痛を発症させます。
また臀部の仙骨も歪んで固縮します。すると背骨の中を走る脊髄も伸展させられて、足先・手先及び下腹部臓器への神経伝達が弱まり、末梢臓器の健康状態に影響を及ぼします。
 手足の指先の冷えや痺れ、膀胱の疾患や便秘・痔など骨盤レベルの諸症状も末梢神経支配の低下が原因と考えられます。

 また強い背骨のネジレで多くの脊髄神経が挟まれ続けると、多臓器の不全を起こしてしまうので、脳は背骨のカルシウムを敢えて減らして圧迫骨折を起こさせることによってネジレを吸収し、脊髄神経の圧迫を解放させて守ろうとします。その状況下で骨粗鬆症と診断されカルシウムの代謝異常とかカルシウム不足が原因と言われていますが、実は脳は強い背骨のネジレの結果やむを得ず行っている反応だと思われます。

 頭蓋骨の歪みの程度が大きい人ほど背骨も大きく歪むことから、体も虚弱になりがちと言えます。また凝りや痛みなどの諸症状は、男性より女性の方が発症しやすい傾向があるようです。男性は働く為に体内麻酔の力で発症を抑える傾向に対して、女性は出産や育児や家を守る役目を果たす為に、体調の不良を自覚し養生できるように、早めに発症する体質になっているようです。



美容への影響
 頭蓋骨の歪みは当然美容面にも悪影響を与えます。
 顔の相としては、片側の固縮があると、固縮側で目が小さかったり、眉が低かったり、口が挙がっていたりする相になります。
 また頭頂部と脳底部の間のネジレ合いが強いと鼻が斜めになったり顎が中心からズレたりします。
 いずれにしても顔が左右非対称になることがあります。
 言い換えると、左右の目の大きさが違う。両目間の線と唇の線が平行でない。唇のラインが傾いている。顎のラインが左右で異なる。鼻が傾いている。こうした非対称性の兆候は頭蓋骨が歪んでいることを意味しています。

 また頭の形絶壁だったりいびつだったりデコボコだったりするのも頭蓋骨の歪みの影響です。また髪の毛の生え方が左右非対称だったりします。



 全身に表れる歪みとしては、左右の肩の高さの違いや、猫背O脚・X脚などの目立った姿勢の悪さが現れます。「姿勢を少し前屈みにすると楽だ」「椅子に座ると足を組みたくなる」「立っていると腰が痛くなる」「片側の首筋や肩が凝る」「片側の膝が痛くなる」「寝ると海老のように丸くなって横向きに寝る」などの傾向がある筈です。

 またお顔の肌にも悪影響を与え肌荒れニキビなどを誘発させます。特に顎や頬のひつこい肌荒れに悩ませられている方が沢山いらっしゃいます。
 肌は神経で栄養されて潤っています。頭蓋骨の歪みは顔の肌を栄養する神経の伝達経路を詰まらせます。
 希に片目の瞬きが早くなったり眼瞼が下垂したりする症状を呈することがありますが、これらも神経の働きが乱されていることが原因と思われます。

 神経伝達の例えとして、震災の後の傾いて歪んだ家を想像してみて下さい。窓やドアは動きにくくなります。頭蓋骨も歪むと、構成する1つ1つの骨の隙間も動き難くなります。顔の肌を栄養する神経は顔面を構成する骨の隙間や穴を貫通して表皮に出てきて皮膚の新陳代謝を司ります。あたかも窓のサッシの隙間からゴム管を通して水を庭に散水するようなものです。
 家が歪むと窓枠も歪み、サッシがゴム管を圧迫して水の出が悪くなります。頭蓋骨が歪んでも肌を支配する神経栄養が弱くなって、皮膚に化粧品や薬剤の有害刺激が来ると、充分な神経栄養による活発な新陳代謝ができなくなり、刺激に皮膚組織が負けてしまい、炎症を起こしニキビや吹き出物などの症状を呈することになるのです。
 修繕工事で家が真っ直ぐに立ち直る如く、頭蓋骨矯正で頭の歪みがとれて骨の隙間の動きがスムーズになると、隙間を出入りする神経の伝わりが回復して、それまで兵糧責めにあっていた肌が元気を取り戻して炎症を起こさない正常な組織に生まれ代わるのです。

 体の皮膚も全て脳から出た神経に栄養されており、骨格の歪みは皮膚支配神経の働きにもムラを作ります。
 皮膚を栄養する神経が弱まると、表面がカサカサしたり全体に黒ずんだり、局部に肌荒れやシミを起こす面性の症状や、ホクロやイボや赤斑などの点性の症状を起こすことがあります。
 痔も頭蓋骨矯正で尾骨を含めた骨盤底の歪みが取れると、肛門括約筋の神経支配が正常になって自然に改善するようです。



頭蓋骨の歪みから噛み合わせ異常や顎関節障害
 噛み合わせ不良も頭蓋骨の歪みと関係します。左右の顎の支点となる顎関節は左右の側頭骨にあります。頭蓋骨が歪んで非対称だと左右の側頭骨の位置関係が非対称になるために、噛む時に顎関節の動きや上下の歯との噛み合わせが不自然になり、噛み合わせ異常や顎関節症を起こします。
 また歯科治療で虫歯に金冠をかぶせた場合に、金冠の削りが足らず高過ぎて歯髄に過剰な刺激が続くと歯ぎしりが続いたり、重要な三叉神経に乱れを起こし、半身脱力現象を誘発したり、顎や脱力側の腕や足に自律神経異常による血管性の激痛を誘発したりすることがあります。
 そこまでの激しい症状が無くても、慢性的に削りが足りない歯の歯髄に神経異常が起きていて、左右の顎の動きに異常が生じて頭蓋骨をも歪ませる現象が誘発されているケースがよくあります。
 「最近年々体調が悪くなってきた」「最近顎の歪みがひどくなってきて顔の相が悪くなってきた」などの場合は発症に先立って歯を治療してはいませんか。心当たりがあれば歯科治療の影響を疑う必要があります。
 
 噛んだ時だけ歯髄が興奮してしまうような高さ異常の場合は、単に首や肩がよく凝るなどの症状だけですが、悪化への予備軍と言えましょう。
 また歯神経の減弱を起こすと虫歯になりやすく、歯痛をしばしば誘発する傾向があります。

 その虫歯の治療でアマルガムや金冠をかぶせられてしますと、それまでの天然の複雑な咬合面が失われ、不自然な咬合面に置き換えられてしまう事から、一気に噛み合わせ不良が強まって、一層頭蓋骨のゆがみを強化させてしまう悪循環に陥ってしまいます。
 特に学校での歯科検診で虫歯の診断を受けた後、一斉に複数の歯に金冠を施されてしまった場合に、本来の歯の高さが分からなくなって金冠の削り不足が複数歯で生じてしまいがちです。その治療を機に健康状態が一気に悪化してしまうケースがあります。

 義歯として使われる白いセラミック材には有害刺激があるのも困ったものです。その刺激を嫌って頭蓋骨に歪みを誘発する場合もあります。当院でその刺激成分を無害化させる対策を施すことができます。無害化できない場合もありますが・・・。

 インプラント方式の義歯も、顎の骨に直接的に圧が掛かることを脳が嫌うようで、頭蓋骨を歪ませる可能性があるようです。この場合は対策がありません。

 また最近では異種金属の補綴材の間で電池作用が起こり、金属がイオン化して溶けだし、金属アレルギーによる皮膚の奇病を誘発している問題が特命リサーチで報告されていました。この場合も対策はありません。

宮 川 準 一